ときどき阿修羅!!
「ゆ、唯ちゃん、そんなに寝相悪いの?
シングルサイズしかないんだ、ごめんね。
ええと……うん。
揉んでも大きくはならないと思うなあ、相手は布団だし」

 リセさんは、なぜか顔を引き攣らせながら、ここだよ、と襖を開けた。

 畳が1、2、3……六畳の和室。

 小ぶりの箪笥がひとつに、松の絵が描かれている襖の向こうはたぶん押し入れだと推測される。

 リセさんは、ボストンバッグを畳の上に置いた。

「リセさん、Tシャツ、ありがとうございました」

 ボストンバックの中から、リセさんの白いTシャツを取り出して渡す。

「どういたしまして。
とりあえず飯にしようか。あ、それとも風呂にする?」

 い、板についてる……!!

 人妻、もしくは、彼女のみに許されたセリフをその辺の奥様よりも、自然にさらりと口にするなんて!!

 強敵!!

 もうラスボス!?

 一緒に旅してたパーティーメンバーだったのに、実はラスボスでしたってパターン?

 ベタすぎですよ!
 言っておきますけど、そのパターン、もう使い古されてますから!

 というか、私、まだ……、奥義「巨乳になれなくてもせめて美乳」習得してないんですけど!!

「ゆ、唯ちゃん!? 顔、真っ青だよ。大丈夫?
じゃあ、飯にしようか。タマキがまだ風呂から出てきてな――」

「お風呂にします!」

「ハア?」
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