ときどき阿修羅!!
居間のテーブルの上には、所狭しと料理が並ぶ。
和洋中と、デパ地下で目に入ったものを全て購入した結果がテーブルにいっぱいに広がっていた。
「……ユキミ、誰がこんなに食うんだよ」
リセさんが、酢豚が乗った皿を片手に溜め息をつく。
「わかってないなあ、律は。
そういう問題じゃないんだよ。目の保養さ」
ユキミさんは、涼しい顔で春雨サラダに手を伸ばした。
その横で、タマキさんは、グラスの中に3センチ角程のバニラアイスの塊をころんと3つ投入。
「とりあえず、お前はお百姓さんに謝れ。
って、タマキは、なにやってんだよ!」
「焼酎のロック」
とそのグラスの中に焼酎をダバダバいれるタマキさん。
ろ、ロック!?
「確かに冷たくなるけど! 確かにそれも“アイス”だけども!
ほらぁ、それ、わけわかんない液体だよ、もう」
「だから、焼酎のロックだって。
律ちゃん、失礼だよ」
とタマキさんは眉を潜めてその……焼酎のロック? に口をつけた。
「失礼なのはお前だ!!
食い物を粗末にするな!」
リセさんは、怒鳴り声を散らせながらも、丁寧な手つきでテーブルに載っている皿の位置を並び替えて、左手に乗っている酢豚の皿スペースを開ける。
さすがリセさん。
「母さん、粗末になんかしてないぞ、タマキは。
見た目は立派なカルピスだ」
「カルピス」
「タマキ、目を輝かすな!
ユキミ、お願いだから、余計なことを言わないでくれよ。
コイツ、またカルピス原液で飲みだすから……」
リセさんって、苦労してるんだな。
というか、この3人で核家族が構成されているように見えるのは、私の思い違いでしょうか。