ときどき阿修羅!!
それから、幾度にわたって、ユキミさんにお酒を飲まされそうになり、タマキさんには甘いってことだけはよくわかるけれども呼称に困る液体を薦められ、そのたびに、ユキミさんとタマキさんはリセさんに叱られて。
「甘くないものは嫌い」と恐るべき理由でごねるタマキさんに、無理矢理チャーハンが乗った皿を押し付けるリセさん。
そんなふたりに茶々を入れながら、軽い口調でなだめるユキミさん。
初めて会ったとは思えないような賑やかな夕食になった。
ずっと昔から私もこの一員だったような、そんな不思議な居心地の良さを感じていた。
おなかも満たされて、みんなの箸(うちひとりは赤いチューブ)が止まったころ。
「唯ちゃん、疲れたでしょ?
今日は俺が片付けしておくから風呂入っておいで」
と空いた皿を重ねながらリセさんが微笑んだ。
「じゃ、兄ちゃんも一緒に……」
よくわからない変態発言を繰り出すユキミさんは無視。
ああ、そうか。
私、今日からここで寝泊りするんだった。
リセさんのお言葉に甘えることにして「ありがとうございます」と頭を下げた。
なんとも言えない変な気持ちを胸に抱えながら、与えられた部屋に着替えを取りに向かう。
開け放したままの窓、セミの声。
暗闇の中から吹いてくる気持ちの良い風を受けて、廊下を照らすむき出しの白熱球は暖かい光を放っていた。