ときどき阿修羅!!

 タマキさんは斜め後ろに控える私に見えるように、手の平、布の上に置いた刃を横にずらした。

「ことごとく尋常な姿。
地沸がよくつき鍛え肌にそって地景があらわれた地鉄。
ゆったりとしたのたれに互の目まじり、刃文の中に横長になって肩の張った耳形の互の目、金筋、稲妻がしきりに働く。
沸が強く、金筋がからんだ帽子」

 はい?
 今のはなんの呪文ですか?

 憎いアンチキショーの帽子に稲妻を落としてください、的な呪い?

「わかるか」

 タマキさんは、一言そう言い加えて、顔を捻って――こっち見たあぁぁ!!

 石になる!? ねえ、私、石化しちゃう!?
 目が合うと石になっちゃうとかなんとかって言い伝えなかったっけ?

「俺はよ、気い長え方じゃねえんだ。
さっさと答えろや。
わかんのか、わかんねえのか」

 というか、もしかしてそれって、クイズですか?

 その前に、私に回答権ってあるんですか?
 先ほど、喋ったら殺すって宣言してませんでしたっけ。

 あぁぁ……睨まないでください……。

「わ、わかりませ……」

「ぁあ!?」

 ヒィヤァァ!!

 怖いよお。怖いよお。
 さっきまでのタマキさんと違いすぎるよお。

 こんだけ人格が違うのに、顔のつくりだけ同じなんて反則だよお。もうレッドカード一発退場だよお。寧ろ誰か私にレッドカード出してくれえ。
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