ときどき阿修羅!!
「ちっ。ったくよ、なんでわかんねえんだよ」 

 舌打ちされた上にそんな蔑んだ目で睨まれるほど、わかって当然のクイズなんですか。もう泣いてもいいですか。

「正宗」

 タマキさんは、はっきりとした口調でそう言った。

 その声色は、鋭く尖っていたにも関わらず、愛しいひとのそれを呼ぶときのような深い慈しみが込められているようにも感じた。

「俺は、こいつをいつか超える」

 腕を伸ばして目の前にかざした刀身に、ちら、ちら、とタマキさんの瞳が映る。

 私は、生唾を飲み下した。
 口の中がみるみる渇いていく。

 さながら。

 雲を突き抜けんばかりの絶壁を前にしたロッククライマー。

 ワールドレコード更新を目論んでスタートラインに立つ陸上競技のファイナリスト。

 野望と生気に満ち溢れて妖しく輝く瞳に、私の胸にうったえるものがあったのは確か。

 私は、本当だ、と思った。
 タマキさんは、今、生きている。

 リセさんが言っていたように、刀に触れている今、生きているんだ。

 ……やっぱり瞳孔は開いてますけど。

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