ときどき阿修羅!!
 タマキさんは、刀身を鞘に戻して立ち上がった。

 床の間には二段構えになっている刀掛け。その上段に右手にもっていた刀を丁寧に横たえて置いた。

 下段には、その『正宗』とやらより、短い刀。

 刀掛けの奥には、鍔がない白い木の鞘のものが数本、床にじかに置いてある。

 タマキさんはその中から一本掴んで、私に押し付けた。

 私の目の前に聳え立つタマキさんは、つまらなそうな面持ちで私を見下ろす。

「やってみろ」

 はい?

 な、何を――、はっ!!
 ももももしや、切腹!?

 クイズに答えられなかった人は、罰ゲームとして切腹なんですか!?
 いや、もはや、ゲームでも何でもないんですけど!!

 ただの自殺強要、割腹自決!!

「やっぱり、お前、できねえの?」

「当たり前です!!」と叫びだしたいのを堪えて、私は首を上下に振った。

 そそそそんなに眉間にシワを寄せたってねえ、腹掻っ切れるわけないでしょうが!!

 嫌味と侮蔑をこれでもかと詰め込んだような長い溜め息をわざとらしくこぼすタマキさん。

 性格悪っ!!
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