ときどき阿修羅!!
 タマキさんの両腕が、私の体を挟んでぬっと視界に入る。

 うひゃあ!!

 その……つまり、後ろから抱かれるような格好になっているわけで……。
 
 いっ、いきなりなんつー展開になってんの、これぇぇぇ!!

「ほら……」

 成分の割合がほとんど息、という色気がほとばしる声で一言囁かれる。

 当然、私の頭は、震度7直下型大震災レベルで、くらくらし始めた。

「一度しか教えねえからしっかり覚えろよ……」と私の左手を掴んだ。

 『男』を感じさせる固い手の平の皮膚がさらりと手の甲を刺激する。

 なななななんですか!?
 
 こんな心臓に負担かかりすぎる格好で何を私に教えると!?
 さっきからずっと、フジヤマの落下中くらいの負担が心臓を襲い続けてるんですよ!

 い、いや、ね。
 男女がひとつ屋根の下で夜を共にするってわけだから、その、覚悟といいますか、心の準備の準備みたいなものはしてましたよ、はい。

 でも、せめて、優しい方のタマキさんの方が……。

「はい、左手は下から、右は上から」

 は?

 気がつけば、私の左手は鞘を、右手は柄を握らされていた。

「おらっ、しっかり握れ! 手ぇ斬んぞ」

 刀を持つ私の手を、上からぎゅっとタマキさんが握る。

 あれ?

 ……これ、なんてプレイ?
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