ときどき阿修羅!!
「その人とどういう関係ですか!?」

「か、関係? 幼馴染だけど……」

 幼馴染!!
 うっひゃあ。ついてる!

「……ええと、君、どうしてそんなに必死なの?」

 はっ!
 ま、まずい。つい熱くなっちゃった。

 あ。素晴らしく引き攣った顔で、しかも若干体を後ろに引いちゃってるよ、店主さん。

 警戒されちゃったら、長年の夢『上の上レベルのイケてる我が子出産』が遠ざかってしまう。

 タマキさん。
 もしかしたら、もう二度とお目にかかれないかもしれない上玉。
 何が何でも上の上の君、タマキさんに会わないと!!

「あ、もしかして、弟子志望? うわあ、助かるよ。
俺ひとりであいつの面倒みるのは手に余るんだよ」

 と、上の下に昇格した店主さんは、安堵を前面に押し出した笑みを浮かべた。

 弟子!?

 弟子ってなんの弟子!?

「わかった。今からつれてってあげるよ。
店閉めるの手伝ってくれる?」

 つつつつ連れてってくださるんですか!?
 上の上の君に会わせてくれるんですか!?

 店主さん、あなたは、柴犬の仮面をかぶった恋のキューピットですか!!

「いいんですかっ!!」

「いいの、いいの。
あいつ、これ、忘れてったから、どうせ届けなきゃいけないんだ」

 店主さんは、作業台の下から長いものを取り出した。
 濃い紫色の袋から、すっと中に収められているブツが頭を出した。

 白っぽい木製の何か。

 店主さんは、親指を上に向けてスライドさせる。

 私の視界に飛び込んできたものが照明に反射してキラリと光った。

 それって……。

 に、日本刀!?

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