ときどき阿修羅!!
「……はあ。
じゃ、柄を外すぞ。下に置け」

 あの、笑いすぎて溜め息つくってどういうことです?
 いくらなんでも失礼だと思いませんか。

 胸の内で悪態をつきながら、言われるがまま下におく。

「で、これ、目釘抜っつーの。
おら、さっさと持て」

 渡されたものは、頭にうちでの小槌みたいな装飾がついた細い棒。

「なんすか、これ」

 思わず訊ねれば、側頭部に頭突き。ごんって。

「いっ!!」

 暴力反対!!
 って、夕食のとき、タマキさん、言ってませんでしたっけ!?

「めーくーぎーぬーきー。
アホ、2回言わすな、バーカ」

 アホとバカ、2連発できますか。併用しますか。そうですか。

 いいですけどね、べーつーにー。

「で、その穴に突っ込んで、目釘を抜く。
そうそ。そんで、柄頭を……」

 タマキさんは後ろから、私を両腕の間に挟んだまま腕を伸ばして、「こう持つ」と柄を握って見せた。

 一旦、タマキさんが下に置いた刀を、今度は私が左手で握――重っ!!

「斜めに立てて、右の拳で左手首を叩く」

 刀を立てて、しかも片手で持つのは予想以上の重量で、必死に耐える左腕。刀身がふらふらと左右に振れる。

 こ、こうかな?
 手首をとんとん。

 それにしても重過ぎる……。

「軽く――あぶねっ!
俺が打ったそいつは、マジで斬れるからな。
気をつけ――」

「あわわあっ!!」

「おいっ!」

 ゆらり、刃が一際大きく光を反射して、弧を描いて畳に向かう。

 ……左腕、撃沈。
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