ときどき阿修羅!!

 馴染み深いけれど、まさか自分の手につくとは思わなかった白い球体をちゃんと見てみようと引き寄せ――。

 ぐ、ぐぐ。
 え。どうして重……。

 ええっ!!

 左腕を引き寄せるの伴って、タマキさんの身体がこっちに倒れてくる。

 ええええ!!

 いや、ちょっと、お待ちを!!
 って、なんで!?
 どうして、私の腕とタマキさんの体が連動して――

「うわあぁぁ!!」

 どさり。衝撃と共に、寝ていた私の上半身に覆いかぶさるように倒れ込んできたタマキさんの体。

 重い……。

「う……ううん……」

 私の顔の横に眉根を揉みながら小さく唸るタマキさんの顔。

 絶景!!

 秘境イグアスの滝を擬人化したら、絶対これだ。だってもう、この美しさは人としておかしいもん。

 そうか。
 タマキさんは人というより、もはや世界遺産の領域に達してるんだ。間違いない。

 うんうん、納得――してる場合じゃなぁい!!

「ちょっと、タマキさん、起きてください!」

「んん……律ちゃん……? おれ、まだ寝る……」

 そして、くうー、と。

 この体制でまだ寝ようとしますか!!

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