ときどき阿修羅!!
「い、いや、タマキさん、リセさんじゃないですよー」

 自由のきく右手でゆさゆさとタマキさんの肩をゆすってみれば、一度開いた眉間を再び寄せて身じろいだ。骨があたって痛い。

「じゃ、じゃあ、こうしましょう!!
いいです。いくら寝たっていいですから、せめてタマキさん、ちょっとどいて――」

「やあ……だったら……りっちゃんも一緒に寝よ」

 半ばやけになって、漬物石と化したタマキさんから逃れようと体をよじれば、何故か「だめ」の一言が返ってきた。

 だだだだめって、なんですか!?
 25歳のいい大人は、ひとりで寝ましょうよ!

 そんな焦りまくる私の心境に追い討ちをかけるかのように、タマキさんは腕の内側に私をいれて、ぐっと引き寄せる。

「いえ、私、リセさんじゃないし、仮にリセさんだったとしてもまた違ったイケナイ要素がってイタタタタタ、ちょっ、タマキさん、内臓がぁぁ」
 
 タマキさんの下敷きになっているにも関わらず、ずずっと私の体は30度ほど回転。

 耳元に、タマキさんの暖かい寝息。
 覆いかぶさるようにタマキさんの体。

 これって、俗に。

 くくく組み敷かれてますことおぉぉ!? 


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