ときどき阿修羅!!
「あれ? 練乳の湖は……?」

 なぜだか密着した状態で向かい合って座っているタマキさんと私。
 詳しく説明すれば。
 足を伸ばして座っている私の太ももの上にタマキさんが座っている、というような。

「タ、タマキさん、夢……でも見てたんじゃ……」

「なんだ……」

 って、泣きそうになるほど残念なことなんですか。

「あ。唯、おはよう。よく眠れた?」

 タマキさんは、私に視線を落として、にこりと首を傾けた。

 て、天女、再び!!

「は、はひぃ」

 私の声が裏返ってしまったというのは、致し方ないというもの。

 性別を超越した美の集大成が超至近距離で微笑んでいたら、もう。

「よかった。唯……昨日は、ごめんね……おれ……」

 タマキさんはバツが悪そうに、腰の横に置いた例の球体に視線を落として呟いた。

 力強い朝日がタマキさんの顔へ、横から光をさす。
 伏せ目がちの目の下にくっきりと睫毛の影が……もう美しさの究極形。

 ゆ、ゆ、ゆ。

 ゆるーす!!

「唯があまりにも怯えた目でおれをみるから……痛くて泣いてる唯をどうしても見たくなっちゃって……手、大丈夫……?」

 眉尻を落としつつ、心配そうに眉間にしわを寄せ、なおかつ、潤んで小刻みに揺れる瞳。

 は、う、あっ!!

 とんでもないことを口走っちゃってるような気がするけど、昨日固い決意を胸にしたような気がするけど、ゆるーす!!
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