ときどき阿修羅!!
「……あれ? なんでおれ、唯の部屋にいるの?」

 ええ!?
 なんでって、それ、全面的に私のセリフですよね?

 あぁぁ。
 タマキさんの視線って虫眼鏡とセットの太陽光線なんですかっ!!
 そんなに、じーっと見つめられちゃったら私の顔、穴が増えそうなんですけど!

 い、いかんいかん。何か考えてないと、意識が遠のくって、マ、ジ、で!!

 え、ええと、昨晩!!
 阿修羅な方のタマキさんに酷いことされて、それから、そのタマキさんに手を差し伸べられて立とうとした瞬間、足が痺れすぎてうまく立たなくて、視界がどんどん傾いて。

 って、あれ? その後は?

 その後の記憶がない!!

 ここで目が覚めるまで、すぽんと抜け落ちた記憶を必死で探していると、タマキさんの目がぱっと大きくなった。

「思い出した。唯をここに運んで、寝かせて……。
あ。切れた小指の手当て、途中だった」

 そう言って、私の左手を手に取った。

 て、手当て!?

 この猫型ロボットの再現的球体は、手当てだったんですか!?

「唯、もうちょっとで終わるから、待っててね」

 と微笑んで、メロン大はあろうかという左手にさらに包帯を巻きつけ始めた。

 何事もなかったかのように、さらっと昨晩の続きを始めないでいただけますか?

 というか、巻きすぎ、巻きすぎ!!
 いくつ包帯をつかったら、こんな状態になるんですか!?

 そして、左手が大きくなるにしたがって、タマキさんとの密着度合いが高くなっていってるのは気のせい……じゃない!!

「タ、タマキさん!! 私とタマキさんの体にも、包帯が絡まってますけど!!」

「ん、ほんとだ」

 ほんとだ、って、気づいたんなら、ぐるぐる包帯を巻きつけるその手、止めてくれませんかねえ!?
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