ときどき阿修羅!!
「唯、そんなにくっついたら、手当てし難いよ」

 えええええ!?
 なんですって!?

 気づいてない!?
 さっきの「ほんとだ」は、何に対しての「ほんとだ」だったんですか。

 こわ!!
 阿修羅じゃないのに、こわっ!!

 タマキさんの厚い胸板に顔を押し付けられながら、驚愕を通り越して恐れおののく。

 タ、マ、キ、さ、ん、が!! 体に絡まった包帯を私の左手に巻き取るのをやめないから、こう、どんどん密着していってるんですけど!!

 つうか、もう、身じろぎできないほどきつく絡まってるのに、どうしてタマキさんは気がつかないんですか!?

「あ、もしかして、手、きつすぎた?」

 手じゃない、手じゃない!!
 きついけど、きついのは、手じゃない!!

「あ、あの……きついのは、手じゃなくて……もっと全体的に……」

「……唯、物事ははっきり言わないと駄目だよ」

 な、ん、で!?

 悪いのは私!?
 なんで、私が優しく諭されてるんでしょうか。
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