ときどき阿修羅!!
 カラカラカラ。不意に耳に入ってきた玄関があく音。

「タマキー。また鍵開けっ放しだぞー」

「あ、律ちゃんだ」

 頭の上から、嬉々とした声が降ってくる。

 リセさんが来てくれたんだ……。助かった……。

 と、胸を撫で下ろした瞬間、「今いくー」とタマキさん。

 ええええええ!?
 
 行くって、どうやって?
 この状態で行くって!!

 タマキさんは勢い良く立ち上がり、もちろん、包帯で絡み付けられた私も――。

「わ」

「わあぁぁぁぁ!!」

 どすん。

「唯ちゃん!?」

 リセさんの慌てた声と、廊下を駆ける足音が静寂した家の中に響く。

 そして、スパン、と襖が開いた。

「唯ちゃん!! どうした――」

 布団の上で再び重なり倒れた私とタマキさんを、リセさんが唖然と見下ろす。

 そして、リセさんの開いた口が僅かに動いた。

「……それ、なんのプレイ?」 
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