ときどき阿修羅!!
「……ふうん。なるほど、原因はコレね」
何度か言葉を詰まらせながら、斬新包帯オブジェ(リセさん命名)の経緯を何とか説明した。
リセさんは、私の手に巻かれた球体を指さした。
「タマキ、お前、刀鍛冶から花火師に鞍替えか?」
ふむふむ。確かに「何尺玉?」と問いたくなるフォルムではある。
もの珍しそうに布団の周りを1周したリセさんは、「あったあった」と包帯の端をつまんでくるくる巻き始めた。
「練乳工場にだったら勤めてもいいかなって思ってる」
「……いっとくけど、まかないに練乳は出ないぞ」
「じゃあ、刀つくる」
即答。どんだけ練乳好きなんですか、タマキさん。
「に、しても、タマキもやっぱり男なんだなあ。
今までの弟子には、頭から血だして倒れたって、救急車すら呼ばなかったくせに」
「電話は近くに持っていってあげたよ」
なんでそこがセルフサービス?
「確かにあったねえ。土の上に固定電話が。
あのね、タマキ君、君の電話は、電話線ひきちぎったら繋がんないんだよ」
「そうなの? どうせ電話鳴っても出ないし、どっちでもいいや」
「出よう! とりあえず、鳴ったら出よう。
あれ? 俺、今、25歳の若者と会話してるんだよね?」
リセさんが会話してるのは、たぶん、霞の代わりに練乳を食す仙人だと思います。
包帯を巻き取る間の軽い過去話、のノリで会話してますけど、タマキさん。
その行為は、前のお弟子さんの生命線を確実に断絶してますからね、それ。
というか、前のお弟子さんは、どうして頭から血を流して倒れてたんでしょうか?
……想像しちゃいけなそうなので、やめておきます。