ときどき阿修羅!!


「……ふうん。なるほど、原因はコレね」

 何度か言葉を詰まらせながら、斬新包帯オブジェ(リセさん命名)の経緯を何とか説明した。

 リセさんは、私の手に巻かれた球体を指さした。

「タマキ、お前、刀鍛冶から花火師に鞍替えか?」

 ふむふむ。確かに「何尺玉?」と問いたくなるフォルムではある。

 もの珍しそうに布団の周りを1周したリセさんは、「あったあった」と包帯の端をつまんでくるくる巻き始めた。

「練乳工場にだったら勤めてもいいかなって思ってる」

「……いっとくけど、まかないに練乳は出ないぞ」

「じゃあ、刀つくる」

 即答。どんだけ練乳好きなんですか、タマキさん。

「に、しても、タマキもやっぱり男なんだなあ。
今までの弟子には、頭から血だして倒れたって、救急車すら呼ばなかったくせに」

「電話は近くに持っていってあげたよ」

 なんでそこがセルフサービス? 

「確かにあったねえ。土の上に固定電話が。
あのね、タマキ君、君の電話は、電話線ひきちぎったら繋がんないんだよ」

「そうなの? どうせ電話鳴っても出ないし、どっちでもいいや」

「出よう! とりあえず、鳴ったら出よう。
あれ? 俺、今、25歳の若者と会話してるんだよね?」

 リセさんが会話してるのは、たぶん、霞の代わりに練乳を食す仙人だと思います。

 包帯を巻き取る間の軽い過去話、のノリで会話してますけど、タマキさん。
 その行為は、前のお弟子さんの生命線を確実に断絶してますからね、それ。

 というか、前のお弟子さんは、どうして頭から血を流して倒れてたんでしょうか?

 ……想像しちゃいけなそうなので、やめておきます。
< 97 / 101 >

この作品をシェア

pagetop