無い物ねだり
第十三章
新山は腕の中で意識を失った私の体を何度も揺すった。しかし、気づく気配はない。
「おい、しっかりしろ漆原!」
「まって、新山君。揺すらない方が良いかもしれない。さっき壁に体を強くぶつけたから、体の中が傷ついているかもしれない。傷から出血したら危ないよ」
「そ、そうだな…」
「私、恩田先生を呼んでくる。新山君はそこにいて、涼ちゃんの様子を見ていて」
「わかった。…あ、待ってくれ!その前に職員室へ行って救急車を呼ぶよう頼んでくれ」
「大丈夫、私携帯電話を持っているから!そうだ!携帯貸してあげるから、新山君が救急車呼んで」
風亜は新山に携帯電話を渡した。
「わかった、任せてくれ」
「うん、お願い!」
風亜は勢いよく立ち上がると、階下へ下っていこうとした。しかしハッとして立ち止まると、再び階段を上り片平のところへ行った。
片平はニヤニヤと笑っていた。明らかに様子がおかしかった。風亜を見れば場違いな、大きな声で笑い出した。
片平奈々は壊れていた。
「ザマァミロ、漆原涼!私の言うことを聞かないから、こんな事になったのよ。天罰が下ったのよ!」
「天罰が下るのは片平さんのほうだよ。これで新山君とは友達にもなれなくなった」
「なるわ!だって私、チョー可愛いもの!頭良いもの!スタイル良いもの!新山君をすごく好きだもの!彼のためなら、命を投げ出す事だってできるわ。こんなにいい女、そういない。見捨てるわけないわ!」
「でも、心が最高にブスだよ。片平さんといると、悪魔か死神に取り憑かれた気持ちになる」
「違うわ、心が最っ高に美人なんだから!」
「はぁー、何を言ってもダメねぇ。…とりあえず、これ以上涼ちゃんに危害を加えたら困るから、一緒に体育館まで来てもらうわよ!」
風亜は片平の腕をしっかりつかんだ。片平はブンブン振り回してほどこうとしたが、風亜は力一杯つかみ放そうとしない。
「今度は逃がさないわよ!さ、一緒に来てちょうだい」
「いやよ、行かない。ぜーったい、行かない!私、新山君と一緒にいたい!」
「おい、しっかりしろ漆原!」
「まって、新山君。揺すらない方が良いかもしれない。さっき壁に体を強くぶつけたから、体の中が傷ついているかもしれない。傷から出血したら危ないよ」
「そ、そうだな…」
「私、恩田先生を呼んでくる。新山君はそこにいて、涼ちゃんの様子を見ていて」
「わかった。…あ、待ってくれ!その前に職員室へ行って救急車を呼ぶよう頼んでくれ」
「大丈夫、私携帯電話を持っているから!そうだ!携帯貸してあげるから、新山君が救急車呼んで」
風亜は新山に携帯電話を渡した。
「わかった、任せてくれ」
「うん、お願い!」
風亜は勢いよく立ち上がると、階下へ下っていこうとした。しかしハッとして立ち止まると、再び階段を上り片平のところへ行った。
片平はニヤニヤと笑っていた。明らかに様子がおかしかった。風亜を見れば場違いな、大きな声で笑い出した。
片平奈々は壊れていた。
「ザマァミロ、漆原涼!私の言うことを聞かないから、こんな事になったのよ。天罰が下ったのよ!」
「天罰が下るのは片平さんのほうだよ。これで新山君とは友達にもなれなくなった」
「なるわ!だって私、チョー可愛いもの!頭良いもの!スタイル良いもの!新山君をすごく好きだもの!彼のためなら、命を投げ出す事だってできるわ。こんなにいい女、そういない。見捨てるわけないわ!」
「でも、心が最高にブスだよ。片平さんといると、悪魔か死神に取り憑かれた気持ちになる」
「違うわ、心が最っ高に美人なんだから!」
「はぁー、何を言ってもダメねぇ。…とりあえず、これ以上涼ちゃんに危害を加えたら困るから、一緒に体育館まで来てもらうわよ!」
風亜は片平の腕をしっかりつかんだ。片平はブンブン振り回してほどこうとしたが、風亜は力一杯つかみ放そうとしない。
「今度は逃がさないわよ!さ、一緒に来てちょうだい」
「いやよ、行かない。ぜーったい、行かない!私、新山君と一緒にいたい!」