無い物ねだり
普段の生活の大半を部活動につぎ込みロクに勉強をしていない上、崖っぷちに立っている私は、休み時間もフルに使い必死に勉強した。それでも習った範囲を全て復習するのは無理で、三年生のバスケット部員全員で山かけした部分をピンポイントで攻めた。残念ながら、頼りになる秀才はいなかったのだ。
しかし、いきなり全精力を勉強モードに持って行けるハズもなく、その反動は突然やって来た。睡魔に負け、読んでいた社会科の教科書に印刷された字がボヤけて見えた。私は慌てて目をこすり、ついでにアクビをした。
(ヤバイヤバイ、寝るとこだった。そんな暇、一秒だってないのに。寝たら赤点確実だ。がんばらなくっちゃ!)
だが再び教科書を読み始めて三十秒後、字がボヤけ頭がガクッと前へ傾いた。驚いてハッ
とし『ガンバレ、ガンバレ!』と自分にハッパをかけるが、またも字がボヤけ頭が前へ傾いた。
(ガンバレ、アタシ。睡魔に負けている場合じゃない。それに、キツい練習に耐えられるんだから、睡魔にだって耐えられるはず。負けるな!)
再度奮起し、教科書を見る。だが五分後、教科書を持ったまま寝てしまった。
土曜日も日曜日も休み無く練習し、平日は連日朝練までこなしている。考えている以上に疲れているらしい。昼食をおなか一杯食べた後はなおさらで、押し寄せてくる睡魔に勝てなかった。強敵だ。ショッキングな事件でも起きない限り、負け勝負から抜け出せそうになかった。
そんな時、教室の後ろのドアを誰かがノックした。
「新山君、いますか?」
どこか聞き覚えのある、可愛らしい女子生徒の声が耳をかすめた。私はハッと目を覚ますと、後ろを振り向いた。
ドアを全開にした入り口からピンと背筋の伸びたセミロングヘアーの頭が見えた。少し不安そうな視線で室内を見回す顔は色白で、卵形。パッチリ二重の大きな目が印象的な、女の子らしい女子生徒だ。
しかし、いきなり全精力を勉強モードに持って行けるハズもなく、その反動は突然やって来た。睡魔に負け、読んでいた社会科の教科書に印刷された字がボヤけて見えた。私は慌てて目をこすり、ついでにアクビをした。
(ヤバイヤバイ、寝るとこだった。そんな暇、一秒だってないのに。寝たら赤点確実だ。がんばらなくっちゃ!)
だが再び教科書を読み始めて三十秒後、字がボヤけ頭がガクッと前へ傾いた。驚いてハッ
とし『ガンバレ、ガンバレ!』と自分にハッパをかけるが、またも字がボヤけ頭が前へ傾いた。
(ガンバレ、アタシ。睡魔に負けている場合じゃない。それに、キツい練習に耐えられるんだから、睡魔にだって耐えられるはず。負けるな!)
再度奮起し、教科書を見る。だが五分後、教科書を持ったまま寝てしまった。
土曜日も日曜日も休み無く練習し、平日は連日朝練までこなしている。考えている以上に疲れているらしい。昼食をおなか一杯食べた後はなおさらで、押し寄せてくる睡魔に勝てなかった。強敵だ。ショッキングな事件でも起きない限り、負け勝負から抜け出せそうになかった。
そんな時、教室の後ろのドアを誰かがノックした。
「新山君、いますか?」
どこか聞き覚えのある、可愛らしい女子生徒の声が耳をかすめた。私はハッと目を覚ますと、後ろを振り向いた。
ドアを全開にした入り口からピンと背筋の伸びたセミロングヘアーの頭が見えた。少し不安そうな視線で室内を見回す顔は色白で、卵形。パッチリ二重の大きな目が印象的な、女の子らしい女子生徒だ。