ふ しあわせの手紙
いつものように私が作った夕飯を共に食べ、誕生日だからと少し高めのワインでお祝いした。


俊介はおめでとうとは言ってくれたけど、手紙もプレゼントも渡してくれなかった。


高価な物やアクセサリーが欲しかった訳じゃない。
俊介は何となく今まで書いていただけかもしれない。
でも、私は俊介からの手紙が欲しかった。

つらつらと長く書かれていたり、愛してるよと書かれているわけでもない。

でも、そんな手紙が私には特別で、二十年も前にもらった俊介からの初めての手紙。
不幸の手紙も、大切に持っているのに。


俊介の馬鹿野郎。


そう思うと、食器を洗いながら悔しさで胸がいっぱいになる。


「今日はもう帰るね。」

「春奈、まだゆっくりしてけよ。」

俊介は引き止めるけど、今晩はそんな気になれない。

「明日の仕事の準備があるから!今日は祝ってくれてありがとうね。」

そう少し強く言い残して俊介の部屋を後にした。
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