キズナ
「あの、嫌味なら今は聞いている余裕ないんで」
そう言っても、彼は去ろうとしない。
「14時にアポ取った。社長自ら会ってくれるそうだ」
耳を疑った。
「え…ほ、本当に?」
藤井が協力してくれるなんて、信じられない。いつも自分を馬鹿にした眼で見ていたし、必ず嫌味を言われていて、嫌な奴だとばかり思っていたのに。
「あの…どうやって社長とアポを取れたんでしょうか?」
「ここが違うからな」
頭を指した。
―やっぱり嫌な奴かも。