夢桜〔詩〕

君が夢を目指すはずだった
暖かい希望の土地で
どうやら桜が咲き始めたらしい
二人過ごしたこの街は
今日もまだちらちらと
雪が舞っているよ

今更気付くなんて遅いと
思うかもしれないけど
残した手紙心を締め付けるんだ
だけど君は何も知らず 心配せず
ゆっくり休めば良いよ


思い出だけを詰め込んだのは
ぶれぬように歩きたかったから
決して向き合えないからじゃない
季節の変化が距離をつくり
不安を掻き立てるのなら
いつもその先で待っているよ




今年も遅い春の匂い
待ち遠しくて伏せた瞼が
君だけに君だけにと
そう懐かしむように呪文を唱えて
残された短い未来の行方を
どうしようもなく見つめた

代わりになれるわけもないのに
望むはずもないのに
君の夢を叶えてやりたかった
もう届かない願い それは幻
誰もが忘れようと必死だった


見上げた青空に舞う花が
どうか希望でありますように
映したふたりの姿を抱きしめて
もう一度取り戻す勇気を
君が生きた証を
僕がこれから生きる証を
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