Rusting rail <短>



ただどこかに続くだけの、今はもう、誰からも必要とされないレールの前。


今は、私だけがまだ、独りで待っている。



ホームに捨てられた寂れたベンチにポツンと座り、

まるで、怯えた子どものように、見えない先を見つめる。


……塗り潰されそうな、私の未来と重ねながら。



アナタがもう一度、私の前に現れるなんて、バカなことを期待してか、

来るはずのない列車が、私を迎えに来てくれる……


そんな夢物語を、叶わぬ願いと知りながら、心のどこかで、深く望んでいるのか。



私の心の中は、きっと、私にもわからない。



もしも……

この線路を辿っていけば、いつかは辿り着くのでしょうか?


また、アナタの温もりに、

アナタの笑顔に会えるのでしょうか?



幸福とも言えなかった想いの正体を、私は知ることができるのでしょうか――



いつかは消える。

……消えるだろう。



希望に満ちた無邪気な子どもでも、

全てを諦めた大人でもない。



そんな感情の狭間で揺れ惑っていた……


――16歳、夏。





END.


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