俺だけの愛しい妹
1:お兄ちゃん

桜も全て散ったかと思う季節。

あたしは重い瞼を、兄である拓哉お兄ちゃんの声で起こされた。


「結菜、早く起きないと学校遅れるぞぉ」

あたしの部屋のカーテンをあけるお兄ちゃん。

眩しい太陽の光が、あたしの顔に当たる。

「ん……眠い」


まだ布団から出ないあたしを、お兄ちゃんは体をゆすった。

「ほら、起きろ」

10回ほどゆすられ、やっとベットから降りたあたしに、お兄ちゃんは

「早く着替えておりてこいよ」

そう言って出て行った。


あたしのお兄ちゃんは、高校3年生。

父母を早くに亡くし、お兄ちゃんだけに育てられてきた。

本当にお兄ちゃんは優しくて、かっこいい。

学校でもモテるみたい。


中学3年であるあたしは、本当にトロくて、お兄ちゃんに迷惑をかけてばっか。

でも、

そんなあたしを大事に育ててくれたお兄ちゃんが大好きなんだ。


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