俺だけの愛しい妹
大きくて、温かい手。
そのときあたしは、ドキッてしちゃったんだ。
「着いたぁ!」
大きく息を吸い、手を広げる芽衣ちゃん。
やっぱりすごい人だぁ……
あたしたちはチケットを買うべく、行列に並んだ。
30分くらいでやっと買えたフリーパスチケットを手に持ち、係りの人に渡し、ちぎってもらう。
「いってらっしゃい」
営業スマイルと知っていても、わくわくする笑顔。
「なに乗るなに乗る!?」
一番ハシャいでる芽衣ちゃん。
「やっぱジェットコースターでしょ!」
それに乗る、森下。
「だよねー!!じゃぁ、あれ!!!」
芽衣ちゃんが指さしたのは、くねくね入り組んでおり、一回転する絶叫系アトラクション。
どっちかというと、苦手な分類の、絶叫系。
見ただけで足がすくむ。
「菊地、行くぞ」
田口に言われ、はっ、とするあたし。
いつのまにか芽衣ちゃんはいなくなっていた。