俺だけの愛しい妹
制服に着替えたあたしは、一階に降りていった。
父と母が残してくれたこの家は、お兄ちゃんとあたしじゃ十分すぎるぐらいの家だ。
リビングの扉を開けなくてもわかる、紅茶の香り。
学校がある平日の日でもお兄ちゃんは、満足する朝食を作ってくれる。
もちろん、夕食だって、そこらへんのレストランよりおいしい。
「お、来たか?いっぱい食って元気つけろよ」
「いただきまーす」
いつもあたしは残さず食べる。
だって、こんなおいしいものを残すなんて、罰が当たる。
「ごちそうさまでした。じゃぁ、学校に行くね」
「あ、俺も出るから待って」
ローファーを履いていると、お兄ちゃんが部屋から出てきた。
鍵をかけ、途中まで一緒に歩く。
「お前、また大きくなったな?」
「ほんと?」
「ほんとほんと、前は俺の胸ぐらしかなかったけど、今は肩ぐらいになってる」
そう言って笑ってくれるお兄ちゃん。