俺だけの愛しい妹

最上階ぐらいにきたとき。

「うっわー、すごいきれー……」

観覧車から見える夜景は、『夜景』じゃないみたいだった。

一人ハシャグあたしに田口は

「子供だな」

って笑った。

「だって、すごい綺麗じゃん!」

「なぁ、菊地ってさ……」

急に真剣な顔になる田口。

あたしはハシャグのをやめ、静かに椅子に座った。

「ん?」

「お前さ、好きな人とかいんの?」

田口の急な質問に、あたしは戸惑った。

「な、なに急にっ」

「いや、ただいるのかなぁ……って」

あたしは純粋に答えた。

「いないよ」

ただそう言っただけなのに、なぜかすごい満面の笑みになった。

その笑顔を見て、なぜかキュんとなる。


やがて観覧車は地上に戻ってきた。

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