俺だけの愛しい妹

目の前にいるのは、『いつも』のお兄ちゃん。

だけど、

雰囲気とかが、なにか『いつも』と違う。

怖い。

あたしは直感にそう思った。

掴まれている腕を振り払おうとしたが、お兄ちゃんの力にはかなわない。

「お兄ちゃん、痛い……」

そう訴えても、掴む腕はゆるくならなかった。

「なにしてたの?」

やっと開かれた口から出てきた質問。

「え?」

「さっきまでどこでなにしてたの?」

お兄ちゃん?

「友達と、遊んでたんだよ……?」

怯えながらも、あたしは答えた。

「友達って?誰??」

「お兄ちゃん?」

「誰と行ったの?」

あたしの質問を無視するお兄ちゃん。


怖い。

どうしたの??

いつもの優しいお兄ちゃんじゃない。


< 25 / 98 >

この作品をシェア

pagetop