俺だけの愛しい妹
電車に乗り、ついていく。
人混みのせいか、結菜は困っている。
そんな結菜の手を引く、『それ』。
その腕、へし折ってやろうか。
殺してやりたい
殺してやりたい
殺してやりたい―――…
なぜか笑いがこみ上げてくる。
ただ見てついていく俺。
今もし、結菜がいなかったら、人混みにまぎれて腕を引きちぎるのに。
『憎しみ』と『欲望』が俺を支配していく『それ』の行動。
目的地に着いた結菜は、笑っていた。
その笑顔は『それ』に向かれていた。
なに俺以外の奴に笑ってるの?
『それ』も結菜に笑顔を向けている。
楽しそうに笑う結菜。
原型をとどめなくなるぐらい、『それ』の顔を潰してやりたかった。
拳を握りすぎて、血が滲み出ていた。