俺だけの愛しい妹
「じゃぁ、いってきます」
「おう、頑張ってこいよ」
お兄ちゃんと別れ、学校へ向かう。
「結菜!」
「あ、芽衣ちゃん」
後ろから駆けてきたのは、同じ学校で、親友の大口芽衣ちゃん。
「ほんとお兄ちゃんと仲いいね」
芽衣ちゃんには、お兄ちゃんのことをたくさん話している。
「そうかな?どこの家もそうじゃないの??」
あたしのその台詞に芽衣ちゃんは大きく首を横に振って
「ないない!あたしの兄なんて、ほんとウザイんだから!!」
否定した。
そういうもんかな?
きっと、お兄ちゃんはお母さんとお父さんがいない分、あたしにつくしてくれているんだと思う。
寂しくないように、って。
だから、あたしは本当に何不自由なく過ごしている。
最初のうちは、寂しくて泣いてばっかりだった。
でも、いつでもお兄ちゃんがそばにいてくれた。
『俺がいるから、大丈夫だよ』
そう言ってくれたんだ。