俺だけの愛しい妹
いつもなら、途中まで一緒に行くけど、あたしは早めに出た。
今お兄ちゃんと『一緒』なんて、体がもたない。
一緒にご飯を食べる。
一緒に歩く。
一緒に喋って笑う。
なにもかも、あたり前だったのに。
自然な行動だったのに。
だんだんと、“当たり前”じゃなくなっていく。
「あれ?今日はお兄ちゃんと一緒じゃないの??」
あたしはハッとし、隣を向く。
「芽衣ちゃん……」
「いつも一緒なのに」
あぁ、お兄ちゃんの話か。
もう、“いつも”じゃなくなってきている。
「喧嘩でもしたの?」
一回一緒に来なかっただけど、そんな心配が生まれてしまうのか。
一体、あたしとお兄ちゃんはどれだけ仲がよかったのか。
「ううん、違うよ」
違う。
喧嘩じゃない。
それ以上の異常なことをしてしまった。
「お兄ちゃん、委員の仕事とかで、先に言ったんだ」
真っ赤な嘘。
お兄ちゃんはきっと、今家を出ただろう。
その言葉に、納得する芽衣ちゃん。
言えるわけがない。
お仕置きもあるが、実の兄と寝ました。
決して言っていけない、タブーの言葉。