俺だけの愛しい妹
家に近づくにつれ、速度が遅くなる足。
そんなことしても、いずれは家に着く。
着かなくてはいけない。
なにもしなければ、なにもないよね。
あたしは自分に言い聞かせ、家に入った。
漂う、夕食の香り。
あたしはなにも言わず、2階の自分の部屋へ急いだ。
部屋に入ると、鍵を閉め、深いため息をつく。
一気に不安は解け、ベットになだれこむ。
これじゃぁ、精神がもたない。
!?
トントン、と階段を上がる音。
お兄ちゃんだ。
「結菜ぁ、帰ってきたの?」
ドクドクと脈打つ心臓。
ガチャとノブが回る。
しかし、鍵をしてあるため、何回も回転する。
「結菜?どうしたの??ご飯だよ」
ガチャガチャという音が恐怖をかきたてる。
どっかのサスペンス映画より、よっぽど怖い。
やがて、ノブを回すが止まり、
「お仕置き、されたいの??」
ドアの向こう側で聞こえた、『戦慄』の声。