俺だけの愛しい妹

「結菜ぁ!忘れ物!!」

芽衣ちゃんがこちらへ向かってくる。

助かった。

あたしから離れるお兄ちゃん。

芽衣ちゃん、この光景に気づいて。

芽衣ちゃんっ……

「教科書とか入ってるんだから、忘れちゃ駄目じゃん」

あたしの願いも音もたてず崩れていく。

また家へと帰っていく芽衣ちゃん。

「帰ろうか、結菜」

にこり、と笑顔を向けられる。

『帰ろう』=『お仕置き』

強く握られる手。

逃げられない。



ドンッ―――

家に入るなり、お兄ちゃんの部屋のベットに倒される。

「駄目じゃん、結菜。俺から離れちゃ」

そう言って、胸に舌を這わす。

「猫は飼い主のそばにいないと」

やめてっ……

「ここ、こんなにしてさ……」

手を縛られて身動きできない。

「逃げたってことは、こういうことされたかったんでしょ?」

違うっ……

言うこともできない言葉。


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