俺だけの愛しい妹

「おいしい?」

お兄ちゃんからのその質問に、

「うん!すっごくおいしい!!」

偽りなく答えた。

それを聞いたお兄ちゃんは、安心した顔をして、カレーライスを頬張った。

「最近、学校はどう?」

何気ない質問に、あたしは答えた。

「なんかね、自分で言うのもあれなんだけど、今日芽衣ちゃんに『結菜モテるね』って言われた」

その言葉に、お兄ちゃんの手が止まった。


「どういうこと?」

低い声に、疑いをもたず、あたしは喋り続けた。

「さぁ?なんかメアド聞かれたからじゃない??」

ガタッ!!

急にお兄ちゃんは席を立ち、スプーンを置いた。

「メアド、聞かれたの?」

下を向き、表情はわからないけど、すごい怖い声。

「う、うん……」

かろうじで答えた言葉に、流れる沈黙。

「そう、よかったね」

顔を上げたお兄ちゃんは、いつもの“お兄ちゃん”だった。

優しい笑顔の。


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