俺だけの愛しい妹
学校へ出る際、お兄ちゃんの一言が離れなかった。
『ほかの男と喋るなよ。見てるからね』
見てるからね―――…
実際お兄ちゃんに見られてないとしても、それと同じことが待っている。
数人の人があたしを見張っている。
何人かなんてわからいし、当然誰かもわからない。
同じクラスかもしれないし、違う学年かもしれない。
はたまた、先生だなってことも……
いや、ありえない。
そんなこと。
考えないほうがいい。
だけど、体がもつだろうか……
精神的にも、もう崩れ始めているというのに。
唯一の落ち着く場所、学校までもが“恐怖”へと変わっていく。
「結菜ぁ!おはよっ!!」
芽衣ちゃんがあたしの肩を叩く。
「あ、芽衣ちゃん……。おはよ……」
「どうしたの?なんかあった??」
あたしの異変に気がついたのか、顔を覗き込む。
言いたい。
全部全部言ってしまいそうになる。
だけど、そんなこと信じるか……