俺だけの愛しい妹

「田口となんで喋んないの?」

芽衣ちゃんに聞かれても、苦笑い。

“嘘”が思いつかない。

「うん、ちょっとね……」


ここでも親友に隠し事をするんだなんて。

もう、あたし最低だ。


「なんでもいいけどさ。一人で抱え込むなよ?」

「ありがと……」


芽衣ちゃんはほんと優しい。

こんな人に、あたしは……




「じゃぁ、この問題を――菊地!お前解いてみろ」

え?

あたし?

答えるだけなら、大丈夫だよね??

あたしは黒板に答えをかき、席に戻ろうとしたとき、

「説明もしてくれるか?」

説、明?

「あ、はい……」


あたしは説明を済まし、席へと戻った。


はぁ、はぁ……

答えてただけだよ……


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