俺だけの愛しい妹

「結菜?聞いてる??」

「え、あ、うん。どこ行こうか?」

お兄ちゃんはにっこり微笑み

「結菜の行きたいとこでいいよ」

そう言った。

特にない。

しばらく黙っていると、

「遊園地にしようか。前結菜が友達と行ったとこ」

ドックン。

ワザとだろうか。

あの日から、あたしとお兄ちゃんの“兄妹”の関係が崩れた。


「う、うん。大丈夫」

「そ。なら、そうしようか」

とにかく、先生のことじゃなくてよかった。

あれはまだ許される範囲なんだ。

安堵の溜息を洩らすと

「結菜、なに安心した表情してんの??」

「―――え?」

ど……いう、こと?

「今日学校で、なにがあったの?」

バレてたんだ。


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