俺だけの愛しい妹
電車へと乗り、遊園地へと向かう。
その間ずっと、あたしは黙っていた。
お兄ちゃんからも話しかけてこない。
あたしから話しかける必要もない。
“普通に楽しく話す”なんて行動、今のあたしには無理。
「結菜」
急に名前を呼ばれ、ビクッとする。
「着いたよ?」
気が着くと目的地の駅にもう着いていて、電車の扉は開いていた。
改札を通って、歩いて10分のことに、遊園地はある。
その間も、ずっと無言。
はたから見れば、喧嘩した“兄妹”か……“恋人”。
「結菜、俺といて楽しくない?」
いきなりの質問に戸惑う。
彼氏みたいな発言にあたしは
「そんなことないよ?」
とだけ答えた。
だけど、お兄ちゃんはまだ悲しそうな顔をしていた。