俺だけの愛しい妹
「もうそろそろ帰るか、最後になに乗る?」
「お兄ちゃんが決めて。今まであたしばっかだったしさ」
その言葉にお兄ちゃんは考える素振りをして
「あれ」
と指さしたのは、観覧車。
正直言って、怖い。
密室だし、下に下りるまではいくらい騒いでもわからない。
だけどあたしは
「いいよ」
素直に受け止めた。
なぜかは、わからない。
だけど、いいかな、そう思った。
じょじょに高くなっていく。
下にいる人たちが米粒のような、感じ。
「高ーい」
少しはしゃぎ気味のあたし。
「結菜、危ないよ」
そう言ってお兄ちゃんは、あたしを抱きしめた。
「っや」
抵抗しても、ビクともしない。
吐息が耳にかかる。