俺だけの愛しい妹
11:解き明かされる真実
突き出る包丁は、結菜の体からだった。
拓哉は震えていた。
「結菜……結菜ぁあ!!」
拓哉は急いで結菜に駆け寄り、包丁を抜いた。
「結菜、ごめんな。ごめんな」
そう言ったあと、拓哉は田口のほうに顔を向けた。
憎しみに満ちた目。
そしてこう言った。
「お前のせいだ」
包丁を握り、再び田口へと振りかざす。
それを田口は止めた。
数センチで切れる、そんな位置での対決。
「やめ……ろっ」
田口の苦しい声も、拓哉には届かない。
笑いながら、『死ね』と繰り返している。
「死ね!!」
ぐっ、と拓哉は力を入れた。
そのとき、結菜はその手を止めた。
「結菜、なにしてるの?」
拓哉の言葉も聞かず、結菜はただふんばっていた。
「結菜どいて」
「どかない……。やめて、お兄ちゃん……」