俺だけの愛しい妹
「結菜っ……なんで?どうして……」
お兄ちゃんの目からは、涙が出ていた。
「お兄ちゃん……」
あたしは床へと泣き崩れた。
優しかったお兄ちゃん。
あたしのために、ずっと傍にいてくれた。
大好きだった。
カッコよくて、料理も上手で、そんなお兄ちゃんが自慢のお兄ちゃんだった。
だけど、
違った―――
優しいのも、料理が上手いのも全部、“あたしのため”だった。
そして、あたしのためにお兄ちゃんは、お母さんとお父さんを殺した。
仲がいい“兄妹”は、お兄ちゃんにとって、『形』だけだった。