俺だけの愛しい妹
休みの日は出かけて。
笑顔いっぱいだった。
一番嬉しかったのは、
『俺がずっと結菜のそばにいるから』
お母さんとお父さんがいなくなって、言ってくれた言葉。
大切な、思い出だった。
だけど、
お母さんもお父さんもいなくなったのは、お兄ちゃんのせい。
お兄ちゃんが、二人を殺した。
この言葉も、兄としてそばにいるんじゃなくて、本当にずっとそばにいるつもりだったんだ。
「大丈夫か?」
田口にそう聞かれ、あたしは静かに頷いた。
田口は優しくあたしの頭を撫でた。
温かくて、あたしはまた泣いてしまった。
「俺は、菊池……結菜が好きだ」
警察署を出たあとに言われた台詞は、本物で。
「あたしも……」
と小さく言った。