笑顔
「雄大…」
「ん?」
柔らかい声。優しさが溢れてる。きっと雄大は心の底から優しいからそれが声になり、匂いになり表情になってるんだと思う。
「大好き…」
「俺も、大好きだよ」
「私、幸せ者だ」
「バーカ」
「ふふ、だって幸せなんだもの」
どれぐらい?と身体放して優しく私をみた。分かってるくせにと笑って大袈裟に腕を広げ大きく円を作る。
「これぐらいっっ!!」
本当は両手いっぱいなんかじゃ足りないぐらい。本当に、全然足りないの。
「んじゃ、俺はこんぐらい!」
ぎゅうと私を抱き締めて耳元で彼は囁いた。柔らかく、優しく、いとおしそうにゆっくりと。
「俺の幸せは佳織だよ。佳織が居てくれれば俺は幸せ」
雄大の背中に腕を回してもっと近付いた。隙間なんて無くなってしまえ。私は、彼と同一になりたい。近づきたい。距離など一ミリだっていらない。
「私も。雄大が隣りで笑っててくれるだけで幸せだよ。間違いなく幸せ」
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