ドルチェ
反射的に視線を足元のすのこに落した。


「よう!杉内。お前式中ずーっと寝てただろ」


顔を見なくてもニヤニヤしていることは分かった。


返事をしないでうつむいたまま来た道をただひたすら歩いた。


「え?シカトかよ。マジー??あーえっと。お前!北垣だっけ??」


意外にもあっさり標的を変えて、北垣くんに絡みだした。


「なぁーガッキー。杉内が超冷てぇんだけどー」


「いや、そんなこと知らないから。しかも何だよガッキーって」


小谷漣が北垣くんの方に腕を回すと、嫌そうに振り払う。


そんなことおかまいなしに


「北・垣だろ?だからガッキー。いいじゃぁん別にさぁー」


ニッと笑うと、北垣くんがわざとらしくため息をついて「勝手にすれば」と折れた。


それを聞いた小谷漣は「イエーイ!」とかありきたりな喜びの声をあげて走って教室に戻っていった。


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