ドルチェ
「ってか、何?アイツ」


北垣くんが呆れたように聞いてきた。


「…あー…あの野生児?…あれ、あたしの幼なじみなんだ…面倒な奴だからさー。ごめんね」


私はいつもいつも漣の世話役みたいな位置付けになっていた。
小学校も中学校もずっとクラスは同じだし、班まで一緒だった。
漣は目鼻立ちがはっきりしていて顔はわりといいほうだし、明るくて、なぜだかあんな変な性格なのに友達は多いし、モテた。


だから、漣のことを好きになった女の子たちにはいつも漣に世話を焼き、いつも近くに居た私は妬まれ、いじめられたこともあった。


小学校からずっと幼なじみということは漣と内緒にしようと約束していたから、まだマシだったんだろう。


幼なじみということがバレたら、きっとエスカレートしてたんだろうな…


「お前…大変なんだな…」


「うん、すごい大変なの!!あ、と、さ?幼なじみってことー…秘密にしてもらっていい…?
いろいろ面倒だから…」


お願い!というように手を顔の前で合わせた。


「あぁ、分かった。まぁ第一そんなこと興味ないし」


「ありがとー頼むよー!!」


こういうのが一番ありがたかった。


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