ドルチェ
「…じゃぁ、また、帰りにね」


「もちろん!」


美里の教室前でバイバイと手を振って、私も隣のクラスに入った。


教室内では同じ小学校の子が知らないこと楽しそうに話している。


少しだけ立ち止まって遠くからその光景を眺めていると、
肩をとんとんと叩かれた。


反射的に叩かれたほうを見ると、叩いた人の人差し指が頬に刺さった。
いつか流行った、アレだ。


顔を見れば、丸い目をした知らない可愛い女の子。


「えへへーはじめまして!あたし、瀬川 汐奈(せがわ しおな)です!」


彼女は私の頬に突き刺した方の手を、私のほうに差し出す。


「杉内あいです…よろしく」


遠慮がちに差し出された手を握ると


「汐奈とでもしーちゃんとでも、好きに呼んでくださいな?
じゃぁ、行こ」


そう言って、私のセーラー服の裾を掴んで黒板まで引っ張られていった。
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