年下彼女。



亜姫は睦月の顔を見た。

それでようやく、あの出来事を思い出す。



あたしの傷跡を受け入れてくれた巧。

虐められて辛くて惨めで・・・そんなあたしを巧は受け入れてくれた。

全身で受け入れて、抱きしめてくれた。


・・・あたしも抱きしめたい。


巧があたしを抱きしめてくれたように。



全力で・・・巧のすべてを抱きしめたい。

例えそれが、どんな過去でも。





「・・・あたし・・・待ちます。

巧が、あたしに過去を教えてくれるまで。



そして・・・巧のこと、抱きしめます」




睦月さんがまた笑った。

「ありがとう」と呟く。



そしてそれから「でも・・・」と付け加えた。





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