年下彼女。










「守ってやれなくて、ごめん。


俺があの日、お前をドライブに誘わなければ・・・事故なんておこさずに済んだんだ。





お前と赤ちゃん・・・守ってやれなくて・・・俺が死ぬべきだったのに・・・」








俺の手が、少しだけ持ち上がる。

亜姫の・・・実咲の頬が、そっと手に当たった感触がした。




「私は、そんなこと思ってないよ・・・」




俺の手に、水のようなものが零れ落ちた。





「だって・・・巧はいつだって私を大事に思ってくれた。

私は、巧のせいだなんて微塵も思ってないよ」





涙が、こぼれる。


目の前にいるのは亜姫だ。

分かっている。





分かっているけれど・・・その口調はあまりにも実咲に似すぎていて。





俺はもう一度実咲に逢えたような気がした。





< 139 / 252 >

この作品をシェア

pagetop