年下彼女。
琴音の、優しい声。
腰まであった長い髪を、結婚式前にばっさり切った彼女は、以前よりも優しくなったような気がする。
俺は、そんな彼女の声に、甘えることにした。
ふぅっと、小さく息をついた。
「生徒のこと」
俺の隣に座っている真子が、俺をじっと見た。
「生徒??」
「あ、こいつ、中学生教師なのよ。数学の」
琴音が説明してやる。
真子が少し目を丸くする。
俺はふっと笑った。
「よく言われるよ。
頭、あまり良くなさそうなのにって」
そして笑顔を引っ込め、また、ため息。