わがままモデル王子は危険な香り
ママが退院の手続きをしに病室を出ていくと

入れ違うように王子が見舞いに来てくれた

大きな花束を持って、王子が笑顔を見せてくれた

「なかなか来れなくてごめん
報道陣を巻くのに苦労したよ」

「私こそ、桜嗣の仕事…ひとつダメにしちゃったね
ワイドショー、見たよ」

桜嗣はほほ笑むと、首を横に振った

優しい笑顔が、今はちょっとつらいかも

「リザの仕事をもう受けるつもりはないから
あのショーで最後にする予定だった
だからいいんだ、莉緒が気にする必要はない」

嘘だ
たぶん、私が気にしないように言ってるだけ

「疑ってるだろ?」

王子は私の頬を軽く抓った

「本当にあれが最後だったんだ
リザは体の関係を強要する
毎回のようにそれから逃げるのに苦労した
人気が出るまでは…って言いきかせてた
もう俺にリザは必要ないから
仕事は受けない
社長にもきちんと言ったから」

「ごめん」

「だから謝るなって
俺、ドタキャンして良かったって思ってる」

王子が私の頭を撫でた


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