わがままモデル王子は危険な香り

2年ぶりの桜嗣

「まだ帰られないんですか?」

坂本さんが私に声をかけてきた

私は顔をあげると笑顔で頷いた

「あ…先に帰ってください
明日の会議を考えると、緊張しちゃって…」

私の言葉に坂本さんが優しく笑う

「大丈夫ですよ」

「…う~ん、ていうか
モデルの桜嗣を生で見られるのかと思うと
興奮と緊張で……」

「あははっ」

「ドジを踏まないかって不安になっちゃうんですよ」

「室長なら平気ですよ
お先に失礼します」

坂本さんはお辞儀をすると部屋を出て行った

本当は早めに帰って、顔のマッサージをしたり、パックをしたりするべきなんだけど

明日の会議は失敗したくないから、何度も計画書を読んでしまう

読んでも読んでも満足できなくて

また目で文字を追ってしまう

怖い
不安
緊張

期待




「はあ」

私はデスクの顔を伏せた

考えるだけで、心臓を誰かに鷲掴みされたみたいになる

手が震えて……

もう…考える時間があるほど、緊張度が増していくよ

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